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関元のツボ

関元の位置・効能・主治

✿穴処

下腹部、前正中線上、臍中央(神闕穴)の下方3寸
足三陰経、任脈の交会穴
小腸の募穴・壮陽の要穴

陰陽元気の交関(関連)する部位に位置し、元陽を大いに補う作用があることから関元と命名された。
この穴の奥には小腸、膀胱、子宮底部がある。
小腸臓病、下元虚冷および男女生殖・泌尿系の一部の病証では、多くの場合、本穴に圧痛または異常反応が現れる。

✿効能

腎陽の補益、脾陽の温補
棒灸で下半身を温め、胞宮(子宮・卵巣)を温め、寒邪を去る

✿主治
  • 泌尿器系
    (遺尿(尿失禁)・癃閉(りゅうへい 排尿困難)・水腫・尿混濁・労淋(膀胱炎)・腰痿(勃起不全))
  • 消化器系
    泄瀉(下痢)・便秘・霍乱(かくらん 急激な嘔吐や下痢)・吃逆(しゃっくり)・反胃(嘔吐)・痰飲・消渇(しょうかつ 多飲・多食・多尿で痩せる)
  • 婦人科系
    帯下(おりもの異常)・不妊症・痛経・閉経・月経不順・産後腹痛・小腹部痛 など

関元と効能の似たツボとの比較

✿関元と神闕(しんけつ)の効能比較
この2つの穴はともに温陽の要穴である

⒈関元
 腎陽の温補、下焦を温める、中焦を補益する
 下元を温めるときによく用いられる
⒉神闕
 脾胃の陽を温める、中焦を温める、中焦を補益する
 温中を目的によく用いられる

関元、腎兪、中極、陰陵泉の効能比較
各穴に小便を通利する作用があるが、メカニズムがそれぞれ異なる

⒈関元
元陽を補益し、気化を助けて、小便を利する

⒉中極
気化を増強し、水道を開いて、小便を利する

⒊腎兪
腎気を補い、気化を益して、小便を利する

⒋陰陵泉
運化を助け、水湿を巡らせて、小便を利する

関元と気海の効能比較

⒈関元
陽気の要穴であり、元陽※1を鼓舞し、温補する
真陽不足の治療によく用いられる
⒉気海
元気※2の要穴であり、元気を鼓舞し、補益する
元気不足の治療によく用いられる

元陽※1(真陽)
腎陽のこと。元陰(真陰)と相対する意味で用いられる言葉。
人体各臓の陽気の根本で推動・温煦作用を有する。
元陽と元陰は平衡を保ち、それによって腎精の正常な機能を維持している。
先天の精から生発する命門の火

元気※2(原気・真気)
腎に源を発し、元陰と元陽の気が含まれる。
腎が蔵する先天の精が後天の精である水穀の精微の充用を受けて形成された腎精から発現する

➡元気も命門の火を指すこともあり、腎陽=元気ともいえる
気海はまさに気に効き
関元は血に効く、血に効きながら陽気を高める
どちらも降気作用があるが。気を下に引きながら元気をつけるのは気海の方が優れている

関元穴とは

私たちが活動するためのエネルギーの源となるところ
下半身を温めて、腎陽そして脾陽を補うところ
生殖・泌尿や消化吸収を助けるために重要なツボ

おうちでのセルフケアにも役立ててください☆

参考文献
東洋学術出版「臨床経穴学」
メディカルユーコン「藤本蓮風 経穴解説(増補改訂新装版)」
東洋学術出版「中医基本用語辞典」
新星出版社「経絡・ツボの教科書」
※既に原文を解説されている書籍からの引用で、原文などから拾っていないことをご了承ください。

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