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病は気から~鍼灸の小説から学ぶ~

先日読んだ本が、まぁボリューム満点で、経絡治療の勉強になるので、どうしてもまとめたくなりブログにしたためさせていただきます。


気が病むと、不調が現れる。五志病みすぎ家族の話。
東洋医学では五臓(肝・心・脾・肺・腎)にそれぞれの感情が配当されていて「五志(ごし)」といいます。
「怒・喜・思・憂・恐」五志の感情のバランスが崩れると病気になります。
その具体例が分かりやすく、リアルに描かれている本です。

↑「鍼灸日和」未上夕二 著

鍼灸師としてみると、病気になる過程・背景がイメージしやすく、良い症例を学べる。
一般の人も、人々が鍼灸で救われていく凄さや鍼灸の面白さが知れる内容。

ストーリーの9割が家族それぞれが抱える問題を描き、1割が鍼灸の話。満たされない日常の描写がどっしりの内容で凄く疲れるんだけど、祖門という鍼灸師のちょっとお馬鹿で才ある明快な人柄が対照的に描かれていて、読書が苦手なわしも全部読めた。
文学科の大学を卒業した鍼灸師さんが書いている。鍼灸師は二足のわらじの人も多いが、凄い才能である。

以下は経絡治療の参考になりそうなので、メモ↓
「自分もこういう傾向ある」という方は未病の可能性ありなので、気をつけてお過ごしください。

●長男
仕事のイライラで頭に血がのぼる。感情が噴火し、その熱にあぶられた胃がフル回転し食べまくる。スナック菓子バカ食いして体の重さに耐えられず膝に激痛が走り、さらに目の奥が痛む「肝胃不和」
根本のストレスに幼い頃からの母への怒りがある

内庭というツボにに瀉法、背部兪穴に置鍼
→胃がスッキリ膝の痛みもなくなる

●長女
病弱な母の世話のため仕事もせず結婚もせず家の事をする毎日に、お先真っ暗な気持ちを押し殺して過ごす。ある日咳が止まらなくなり背中に激痛が走る。
憂鬱とか悲しいという感情が積み重なると肺が病む。「肺虚」
咳がでて、そのせいで背中を痛めた
長男同様、母親の影響が強い。
幼い頃から母に叩かれ自分を責め続け、自信がなくなっていた。

太淵という肺の原穴のツボに補法、背部兪穴に置鍼
→喉がスッキリし、背中の痛みも消失

●父親
自分は家族のためによくやっていると思いつつ、いつしか家に帰るのがプレッシャーになり出した。ぐじぐじ悩んで脾が病み、お腹を下す。胃痛が起こり、次第に腰痛で動けなくなる。脾の全身へ栄養を送る働きが弱って、腎まで病む「脾腎両虚」

委中に補法
翌日、
足三里、上巨虚、天枢、中脘→胃腸の調整
太白(原穴)、商丘(経穴)→脾の調整
章門
→腰痛がほぼ消失、胃の痛みがなくなる。

●次女
幼い頃、母に受けた虐待を自分の娘にもついしてしまい、深い後悔の念に苛まれる日々。それが夫にバレないかとビクビク。自分自身を恐れて過ごしている。
ある日その気持ちが耐えられなくなったあたりで、耳鳴りが始り段々強くなる。めまいも発症。
恐れという感情で腎が弱り、腎と繋がる耳がおかしくなる。それに伴い目眩も現れる「腎虚」の状態。

太谿に補法
→症状が大分おさまる。

以上、4人の気から来る病の物語
根深い、恨み辛みは全て母の影響があるが、その母もまた親から叩かれ辛い経験をしていた。
最終的に家族全員、気持ちをぶつけ合ってそれぞれ症状が消えていく。

心と体は複雑なようで単純で複雑
全ては過ぎていく
受け流せる寛容さでシンプルに生きていきたいものです

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