MIUHARI鍼灸マッサージ院・漢方薬店LUNA 院長の安達です。
前回は「採卵後からの鍼灸はもう遅い?」というテーマで、移植に向けて今からできることをお話ししました。
今回はその続きとして、移植前後で体の中がどう変化していくのかを、漢方の視点からもう少し詳しくお話しします。
「移植のために内膜を厚くしたいのに、なかなか厚みが出ない」
「鼠径部を温めたり、ストレッチもしているのに、数値が変わらない」
そんなお悩み、当院にもよく届きます。
頑張っているのに結果に繋がらないと、「私の体質のせいなのかな」と自分を責めたくなってしまいますよね。
そのお気持ち、とてもよくわかります。
今回は、漢方の視点から「なぜ内膜が厚くならないのか」、そして「生理〜移植までの体の中で何が起きているのか」についてお話しします。
生理から移植まで:体は「巡らせる」ことに集中しています
漢方では、生理が始まってから移植までの期間、「活血(かっけつ)」という、血を巡らせる働きをとても大切にしています。
子宮に流れ込む血流をしっかり巡らせることで、内膜という「土壌」に栄養が届きやすくなる。
移植前の体づくりは、畑を耕して水はけを良くしているようなイメージです。
(もちろん体質によって内容は変わりますが)基本的には、移植前まではこの「巡り」をしっかり作っていく時期、と考えていただくとわかりやすいと思います。
移植後は、「巡らせる」から「守る」へ
一方、移植が終わった後は、体の中で起きていることがガラッと変わります。
子宮に入ってきた受精卵が、内膜にそっと根を張り、そこにとどまろうとする時期。畑に種をまいた直後に、強い水流でジャブジャブ土を洗い流してしまったら、種は根付けませんよね。
そのため移植後は、活血を慎重に行ったり、時にはあえて控えたりと、鍼灸の施術内容も漢方の中身も切り替えていきます。「巡らせる」時期と「守る・とどめる」時期、この2つを体の状態に合わせて使い分けることが、漢方の考え方ではとても重要なのです。
内膜が厚くならないのは、「巡り」ではなく「材料不足」かもしれません
ここで、今日一番お伝えしたいことです。
温活やストレッチ、軽い運動で血流を良くしようとしても、内膜の厚みになかなか成果が出ない方。そういう方は、そもそも巡らせる材料そのもの=「血(けつ)」が不足している可能性があります。
いくら水はけの良い畑を作っても、そこに撒く肥料(栄養)が足りなければ、作物は育ちません。それと同じで、血が不足している状態でいくら「巡らせよう」と頑張っても、内膜はなかなか厚みを増していかないのです。こういう場合、優先すべきは「巡らせる」ことより先に、「血を増やす」こと。
食事の内容やバランスに気をつけていらっしゃる方はとても多いですが、正直なところ、通常の食事だけで血を十分に補いきるのは簡単ではありません。そこで漢方薬の力を借りて血を増やすサポートをすることで、内膜の厚みが安定してくるケースを、私自身、施術の中で何度も見てきました。
前回の記事でご紹介した、内膜が7mmから8.5mmまで育った方も、まさにこの「血」が不足していたタイプでした。
「血を増やす漢方薬」は、体質によってさまざまです
血が不足している兆候がある方には、「補血薬」と呼ばれる、血を補うタイプの漢方薬を使うことがあります。
ただし、内膜が薄くなる原因は人によって本当にさまざまです。血の不足以外にも要因が重なっていることもありますので、どの漢方薬が合うかは、自己判断せず、専門家にご相談の上で決めていただくことを強くおすすめします。
まとめ
- 生理〜移植前:「活血」で血を巡らせ、内膜という土壌を整える時期
- 移植後:巡らせすぎず、着床をそっと「守る」時期へ切り替える
- 内膜が厚くならない方は、巡りの前に「血」そのものが不足しているサインかもしれません
- 血を補うサポートには漢方薬という選択肢がありますが、体質による使い分けが必須です
次回は、「内膜が厚くならない原因」をタイプ別に分けて、それぞれに合った養生法をお伝えしていきます。「自分がどのタイプなのか知りたい」という方は、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
漢方薬について詳しく知りたい方は、漢方薬店LUNAでも個別にご相談いただけます。気になることがあれば、鍼灸の施術中でも、漢方薬店でのご相談でも、いつでもお気軽にお声がけください。